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『二階堂英丸を対象としたフェロモンの考察:草稿』
製作者: 秋津弥生

♯1.「フェロモン物質」について

 フェロモン(pheromone)とは、生物が種族繁栄の為に体外に分泌し、同種の固体に特異な 反応を引き起こさせる物質である。世の生物は繁殖期(主に春)に入ると、雌は雄を引き寄せる為、雄は雌を引き寄せる為に、フェロモン物質を分泌しお互いの『ヤコブソン器官』を刺激する。ヤコブソン器官を刺激された雌雄は当然のように発情し、雄は勃起したペニスを雌の濡れたヴァギナに挿入し交尾をするのだ。これは地球上の生物に雄と雌の区別が出来た時から、連綿と紡がれた壮大かつ地道なたゆまない歴史である。
 しかし…この地球上で分泌されたフェロモン物質の刺激を受ける、ヤコブソン器官が退化した生物がいる。それは…我々、人類である。その昔、人類も例外ではなかった。人類も春が訪れると、体内時計が繁殖期である事を脳内に知らせ、その指令が脳下垂体へ伝わると、 心と身体が一定の緊張感を保ちつつ興奮する。そして心拍数の上昇とともに、体内から物質を分泌し、雌雄、お互いのヤコブソン器官を刺激して発情した。しかし二足歩行を始め、火を使い、文明を産み出すと♂が♀を誘うフェロモンは宝石に金に変わっていき、♀が♂を誘うフェロモンはその衣服、髪型、香水などに代替された。つまり人類は季節に関係なく発情する術を得たのだ。
 しかしこの事で、 雌雄ともに体内から分泌するフェロモン物質が少量となり、おのずと刺激を受けるはずのヤコブソン 器官も退化していった。人類が文明の繁栄を謳歌する。それと反比例するように……。
 世界フェロモ ン機構(WFO)の発表によると、21世紀の終わりには、人類が体外に分泌するフェロモン物質は1パーセント以下にまでなり、人類のヤコブソン器官は完全に消失するであろうと言われている。あくまで私見ではあるが、フェロモン物質の分泌量 の減少、ヤコブソン器官の消失の先にあるものは、繁殖可能な精子の減少、卵子の弱体化に繋がる危険性を孕んでいると思われる。これはまごう事なき人類の危機である。私には21世紀を告げた鐘の音は、人類滅亡へのカウントダウンに聞こえるのだ。

しかし私は知っている。人類の奇跡とも呼べる青年を…
退化した人類を救うことが出来る唯一の人間を…
その名は…二階堂 英丸。



♯2.「二階堂英丸」について

 二階堂英丸、北海道出身。英丸は飛び抜けて容姿がいいわけではない。どちらかと言えば、幼い頃から女性を前にすると赤面してしまうような、ウブなどちらかと言えば「カワイイ」青年だ。
 英丸の姉である二階堂さとみによると、彼が第二次性徴期初期を迎えると彼の周りには、異様に女性が集まって来ていたらしい。彼が緊張して心拍数が上昇するようなシチュエーションに対峙した時、そして春から夏にかけては異常なほど女性が群がり、彼をかいがいしく世話をしていたようだ。また、前述したように二階堂英丸はウブな為に自分に群がった女性に対して更に緊張の度合いを高め、心拍数をアップさせてしまう為、触発された女性同士が彼を奪い合うような状況もしばし見られたようだ。
 この事実から解るように彼は今、人類が失いつつある、フェロモンを大量に分泌していると思われる。しかし彼は少しづつ、女性恐怖症気味になってゆき、あまりにモテる為、同性からは妬まれ、苛められた。そして当然のように内向的になってゆく英丸だったが、彼にはさとみと言う理解ある、姉がいた。
 彼女は血が繋がっているせいか、英丸の分泌するフェロモンには刺激を受けないようだった。勿論、姉の前で英丸が緊張することが無いのも彼女が刺激を受けない原因であると考えられる。町中で女性にもみくちゃにされている時、男友達に苛められている時、さとみはいつも助けていたようで、英丸にとっては頼りになる存在である。しかし、英丸の守護者である姉との別れの時が来た、さとみが東京へ就職したのだ。これまで英丸を守っていた姉が居なくなると、彼の周りには狙いすましたように女性が殺到した。
 防壁であったはずの姉のいない、彼にとっては悲惨、他男性にとってはハーレムのような生活の中で、彼は自分を守る手段を本能的に理解していく。春から夏の終わりにかけて、女性が自分に群がるようになる事。自分が緊張したり、ドキドキしたりする時に女の子が殺到してくる事。自己防衛手段を学んだ彼が極力、そうならないように心がけ、生活を送り始めると少しだけではあるものの、彼を取り巻く状況は和らいだ。
 しかし…第二次性徴期の後半(彼が射精を覚えたのもこの時期)を迎えると群がる女性達に変化が起きた。突然、彼を取り巻いていた女性達が、自慰行為に耽り始めたのだ。そして今まではただ彼に群がり、世話を焼くぐらいだった女性達が彼を性的に誘うようになったのだ。眼を潤ませ、彼の名前を甘えた猫のように呼びながら陰部を彼の太股に擦りつけるようになった。紛れもなく彼女達は二階堂英丸の分泌するフェロモンに退化したはずのヤコブソン器官を強く刺激され、発情していたのだ。
 そして…英丸にとっては悲惨、他男性にとっては羨ましい事件が起きた。我慢出来なくなった女の子数人が彼の体を貪るように、求め、犯したのだ。無惨にも彼の服は引き千切られ、発情した子猫達は代わる代わる彼のペニスを、その濡れそぼったヴァギナへと挿入していった。その時、彼を助けたのは彼の産まれた町の開業医であり、英丸の通う学園の保健医でもあった、『天才科学者 秋津弥生』つまり…私である。この事件以降も彼はこの学園にいる間、度々、牝猫達に犯され続けた。その度に私は彼を親身になって保護し、彼の異常とも思える フェロモンの研究を続けた。
 しかしこの春、英丸は…「東京は北海道とは違って空気が汚いから、あなたのフェロモンにあてられる女の子はいないわよ」「東京はいい男も多いしね☆」という、大好きな姉・さとみの助言もあり東京の学園に進学した。

 だからと言って研究をここでストップするわけには、いかない。