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それを最初に発見したのは乾家当主、乾泰三(48)であった。
ある朝、屋敷の庭に唐突に出 現した巨大な穴。人が1人ようやく通れるほどの幅、
どこまで続くのか判らない深さを持つその穴を一体誰が、何のために掘ったのであろうか……
謎は深まるばかりである。
「えーい、人の屋敷に斯様な大穴を掘りおるとは何処のたわけ者じゃ!見つけ次第、
この泰 三の刀の錆にしてくれるわ」 ひとしきり怒鳴ってみても、誰も相手にしてくれない。
「……どれ、とりあえず穴の中を調べてみねばならぬのう」 独り言の多い男である。
やがて意を決したかのように肯いた泰三は、徐に屋敷中に響き渡る大声で叫んだ。
「皆のもの、出会えーッ!! 誰かこの穴を調べに行く者は居らぬか?」
「とうとう手に入れましたわね、念願のヒ・ミ・ツ・キ・チ♪」
「御意。少々胡散臭い不動産屋ではありましたが、なかなかの物件でございます」
ところかわって穴の最下層では絵に描いたような美男美女が密談を交わしていた。
秘密結社『じゅわいおくちゅーる』の総統ココ・カメリア(20)とその参謀である
観修寺惟麻 呂(24)である。
「秘密基地も手に入ったことだし、あとは世界征服するだけよね……」
「御意」
「だけど、世界征服するのって私、初めてなの。何から始めればよいのかしら?」
「はっ。新興組織の発展には地域住民の協力が不可欠かと。まずは主婦層の賛同を得るため にもパート募集などが宜しいかと……」
この先訪れる人生最大の災難も、悪徳不動産に思い切り騙されたことも、
少々現実認識能力 に乏しい彼らはまだ知る由もなかった……。 |
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